自律神経の乱れに効果が期待できる漢方薬について解説!

日々意識せずとも身体が健康な状態でいられるのは、自律神経系という機構がいつも動き続けているからに他なりません。そういった自律神経系も、ストレスや病気などでその動きが不調になることがありますが、そのようなときは漢方が役に立つかもしれません。今回は自律神経系と漢方の関係性や、自律神経を整えてくれる漢方について解説していきます。


そもそも「自律神経」とは?

自律神経と一般的にいわれているのは、「自律神経系」という体中に張り巡らされている神経の機構のことです。この自律神経系の働きによって、私たちの意識や意思に関係なく内臓や血管などが自動で動いてくれているのです。

日々身体の血液を循環させ、取り入れた栄養を消化吸収しつつ不要なものを排出するという一連の流れは、この自律神経が常に動き続けてくれているおかげで保たれています。また、交感神経と副交感神経の2種類をオンとオフに切り替えながらそうした動きを維持していることも特徴のひとつといえるでしょう。

簡単にいうと交感神経は活発性を、「副交感神経」は鎮静を司っています。ポジティブとネガティブを切り替えるように、身体や心の働き方のバランスも動と静を定期的に切り替えて、生存に適したバランスを保ち続けているのです。

自律神経が不調になるとどうなる?

このように適したバランスを保ち続けている自律神経系は、外的ストレスなどの要因によってその働きが弱くなってしまうことがあります。これを「自律神経失調症」と呼び、この状態が続くと全身のさまざまなところで不調が起こるようになるのです。

自律神経失調症の厄介なところは、人によってどこに不調が現れるかが違うことです。ただ一般的に現れる症状としてはある程度決まっています。例えばめまいや頭痛・動悸・耳鳴り・異常発汗といった身体的な不調だけでなく、情緒の乱れ・強迫感や不安感・イライラといった精神的な症状も現れます。

また、これら症状も最初は軽微のため、ちょっとした疲れのように感じてしまいがちです。しかしひどくなると、精神面ではうつやパニック障害を発症したり、身体面では慢性的な冷え性や過敏性腸症候群などに発展したりすることが報告されているため、決して油断はできない病気です。

自律神経失調症と漢方の関係

こうした自律神経系の不調は、西洋医学的というよりも東洋医学的であるといえます。明確にどの場所でどのような不調が出るかがはっきりしているわけではなく、多様な症状がはっきりしない形で出る場合も少なくないからです。

日本の伝統医学である漢方や古代中国生まれの東洋医学においては、自覚はあるけれど明確ではない全身症状のことを「未病」といいます。この未病に対し、全身を巡る経絡(けいらく)の要所に存在する経穴(ツボ)に刺激を与え、薬を作用させることによって「気の流れを改善する」アプローチからの治療を行ってきました。

東洋医学や漢方では、西洋医学のように症状を抑え込むのではなく、「体調を整えることで心もケアし総合的に症状の出ない身体づくりを目指す」という考え方が、医療の根幹にあります。自律神経系はよく東洋医学の「気の流れ」に例えられることもあり、こうした未病の治療=気の流れの改善において、漢方に効果があると期待できるのです。

自律神経失調症に効果が期待できる漢方薬

自律神経失調症に効果が期待できる、漢方薬の例をご紹介しましょう。自律神経失調症は前述の通り人によって症状の出方が違うので、「自律神経失調症にはこれ」と効果のある薬を絞れるわけではありません。そのため症状別に、改善が期待できる候補を挙げていきます。

まずは、「イライラ・のぼせが主体の症状」に対して、改善が期待できる漢方薬をご紹介しましょう。この症状に対しては、「黄連解毒湯(おうれんげどくとう)」が、代表的な漢方です。これはイライラやのぼせ感、不眠症や胃炎などストレスの強い人に対して、その症状の緩和が期待できる漢方薬です。更年期の女性特有の症状に対しても、効果が期待できます。

そして「動悸・めまい」が主体であれば、「柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)」が効果的です。動悸やめまい・気鬱感、不安・不眠・いらだちなどを緩和してくれることで知られている漢方薬であり、ストレスによる円形脱毛症や過換気症候群などにも効果が期待できます。

「冷え性・腰痛」が主体であれば、「当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)」がおすすめです。冷え性や腰痛、しもやけに対して効果が期待できる漢方薬です。

まとめ

今回は自律神経の不調に対して、漢方でどのような効果を期待できるのか、具体例を挙げてきました。漢方は薬さえ飲めば治るというわけではなく、生活習慣も含めて改善していくことで、効果を発揮する薬です。ゆっくりとした入浴や十分な睡眠や食事など、ストレスを与えない生活習慣も合わせて実践していきましょう。

千葉幕張・都賀の調剤薬局「ありす薬局」では、医師の処方にもとづく薬剤の調合だけでなく、日々の健康相談についても受け付けています。特にアロマテラピーやハーブティーなど生活に取り入れられる健康習慣に詳しく、個別の漢方相談にも応じていますので、お気軽にご来店ください。