「不妊症」は、適切な妊活を行っていても子どもを妊娠できない症状をいいます。子どもができないことは、とくに女性にとってつらいことです。しかし不妊は、かならずしも女性だけが悪いわけではありません。
男性側に原因がある場合をふくめて、さまざまな原因があります。今回は不妊の原因について、男女別に考えられるものを網羅的に解説していきましょう。
「不妊」とはどういう状態を指すのか
まず不妊というのはどういった状態をさすのかを、軽く振り返っていきましょう。
不妊というのは文字通り、「妊娠しない状態」をさします。日本産婦人科学会による医学的定義によれば、「生殖年齢の男女が妊娠を希望しある一定期間、避妊することなく通常の性交渉を継続的に行っているにもかかわらず、妊娠の成立をみない場合」を不妊と定義しているのです。
一定期間というのは1年とするのが一般的ですが、妊娠のために医学的介入が必要な場合は、期間をとわないとされています。通常健全に妊娠できる状態の場合では、3か月で約5割、6か月で約7割~8割、1年で9割のカップルが妊娠します。
つまり適正年齢であれば1年も妊活を続ければほぼ確実に妊娠できるはずなのに、妊娠に至らない場合を不妊症と定義するわけです。
不妊症を発するカップルは、妊娠を希望しているカップルの10%~15%ほどといわれています。意外と多いと感じたのではないでしょうか。
不妊の原因①:女性側で考えられる原因
重ねて申しあげますが、不妊になるのはかならずしも女性が悪いというわけではありません。しかし妊娠の主体的機能を担うのは女性のため、まずは女性側で考えられる原因からご紹介しましょう。女性側で考えられる原因としては、以下のようなものがあります。
- 排卵障害(排卵に不具合がある)
- 卵管の癒着・狭窄・閉塞(排卵された卵子の通り道に不具合がある)
- 頚管粘液の分泌不足(精子の通り道が十分に形成されない)
- 子宮の病気(子宮筋腫・子宮腺筋症・子宮内膜症・子宮奇形)
- 黄体機能不全(子宮を着床に適した状態にするためのホルモン分泌が十分でない)
適切な排卵は、デリケートなホルモンバランスを保っていることが前提となります。それが維持されていない場合、排卵が起こりにくくなることがあるのです。不安な方は基礎体温を把握し、ホルモンの検査(血液検査)、卵胞径等の超音波検査を受けてみましょう。
そのほかの要因に関しても、特定のための検査が各種用意されています。妊娠の兆候がみられない場合には、医師の診察を受けることをおすすめします。
不妊の原因①:男性側で考えられる原因
妊娠は、女性と男性双方の機能が正常に働いていないとできないことです。ここからは、男性側で考えられる原因をみていきましょう。男性側で考えられるのは、以下の通りです。
- 無精子症、ないし造られる精子が極端に少ない
- 精管が閉塞するなどして精子が排出されない
- 精嚢・前立腺等の病気によって精子の運動機能が低下・停止している
- 精子がすでに死んでいる、形体が異常、精子の染色体異常
- 性交時に勃起が維持できない(勃起不全)
- 射精時に精液が逆流する(括約筋異常)
こうしてみると男性側にも、さまざまな要因があることがわかります。とくに精子が少なくなってしまう場合、勃起不全になってしまう場合には、普段の生活におけるストレスや飲酒喫煙といった習慣などさまざまな要因が絡んでくる場合があるのです。かならずしも不妊だから病気とは限らないのです。たとえば疲労すらも精子を作る能力に、影響を与えるといわれています。
まずは医師の診察を受けて要因の確定を
上記のような原因ではっきりすればまだ治療の余地はあるのですが、場合によっては上記の原因にあてはまらないのに妊娠しない、原因不明のケースもあるのです。
そうした場合には、人工的に着床を促す人工授精や、卵子や精子を体外に摘出したうえで受精させ、受精卵を再び体内に戻す体外受精といった方法をとることになります。
まずは医師の診察を受け、原因が特定できるようであれば特定してしまうことが、なによりも先決となります。少しの活習慣の改善、ストレスの除去で状態が改善されるような原因もなかにはあるのです。あまり悲観せず、まずはしっかりとどのような原因で子どもが作れないのかを、把握することからはじめましょう。
そして診察の結果病気が発覚した場合は、医師の指示をしっかりと聞いて、治療に努めましょう。
まとめ
今回は不妊の原因について、不妊の定義にも立ち返りつつ、考えられるものを男女別に網羅的に解説してきました。不妊には多様な原因があって、男女ともにその原因を取り除かなければ、妊娠を果たすことはできません。
どちらかに責任を押しつけることなく、お互いが思いやりをもって、不妊治療ないし健康状態の改善に努めることが、なによりも大切です。
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