女性ホルモンと漢方の関係とは?更年期に役立つ漢方について解説

女性特有の病気や疾患は、基本的には女性ホルモンが原因となって起こるものが多いです。そして女性ホルモンが持っているさまざまな機能は更年期になると一気に失われてしまいます。さらにその影響でまた新たな疾患を招いてしまうという、非常に厄介な存在でもあります。女性ホルモンには特徴があり、女性は一生をかけて女性ホルモンとうまくつき合っていかなければなりません。そうしたときに漢方の考え方が役に立ちますので、今回は女性ホルモンと漢方の関係について、詳しく解説していきましょう。


漢方と女性の関係とは?

漢方は日本の伝統医学であり、そのルーツは中国医学にあります。中国から伝わった医学の知識を日本向けにアレンジし、独自の理論や治療法を編み出していったものが「漢方」です。漢方ではあらゆる人間の状態、身体の部位ごとの状態について独自の理論が展開されており、女性についても詳しく述べられています。

漢方において女性は、「7の倍数で身体が変化する」と考えられてきました。これはおよそ2,000年前、漢の時代の中国で生まれた医学書『黄帝内経』に記されている考え方です。漢方のルーツはその名の通り、古代中国の王朝「漢」の支配下の中国で編み出された医学であります。日本の漢方もその影響を強く受けているのです。

7の倍数というのは例えば、14歳で初潮を迎え、21歳で女性としての身体が完成します。そして28歳で女性として最も身体が充実し、身体機能・性機能共にピークに達するのです。ピークを過ぎた35歳あたりから漢方における「気血」が衰えはじめ、42歳を過ぎると女性ホルモンの分泌量は減少します。さらに49歳で閉経する、といったように変化していくのです。

そして、56歳には漢方でいう「肝気」が衰え、63歳で「心気」が衰えます。さらに70歳で「脾気」が衰え、84歳で「肺気」、91歳で「腎気」が弱くなっていくというのです。

漢方において女性に大切なのは「肝」「脾」「腎」

このように漢方においても、女性ホルモンによる身体機能の発達と衰退はしっかりと体系化されていたことがわかります。しかしその考え方は全般的に、西洋医学とは異なるものになっているのです。

漢方で女性ホルモンに該当するのは、「肝」「脾」「腎」であると考えられています。西洋医学のイメージでいうと肝臓・脾臓・腎臓のことですが、いくつか異なる点もあるため注意が必要です。

漢方における「肝」とは主に情緒や自律神経系といった全身機能の調節を担う場所として考えられており、その主な役割は「血」の貯蔵と循環になります。その他にも感情や心理に関する調節機能や自律神経の調整も担っているのです。

「脾」とは、栄養の消化吸収などの調節機能を持ち、「血」が出ていかないように保つ機能もあります。また、「腎」とは、地面より得られる「精」を「血」に転化させるものとして貯蔵する役割があるのです。主な働きとしては成長と老化、ホルモンや体液・生殖機能などの調節があります。

これらの「肝・脾・腎」と「気・血・水(津液)」が密接に関係することによって、女性の身体は健全に保たれているのです。しかし不規則な生活やハードな仕事によるストレス・不摂生、運動不足などによって、「肝・脾・腎」の機能が低下してしまいます。そして「気・血・水」の流れが滞ったり、量が不足してしまったりすると、女性特有の病気(月経不順や不妊症、更年期障害など)が起こるとされているのです。

「気・血・水・精」の不足によって老化や病気が進む

女性のピークである28歳の時点では、人間的な活動力を司るエネルギー、漢方でいう「気」が満ち溢れています。そして全身に栄養を運び身体を若々しく保つ「血」、肌のツヤや潤いを保つ働きがありやがて「気・血」に転化することで役立つ、いわば気・血の貯金ともいえる「精」、これらがすべて満ち足りた状態になっているのです。

しかし加齢とともにこれらの「精・気・血・水」は不足し、特に潤いに関わる「精」の不足は著しいものになります。また年齢を重ねるごとに代謝能力も落ちることで、古い老廃物などを体外に排出する力も減ります。よって排出されない老廃物が体内にため込まれる状態になるのです。これを漢方では「気滞」「痰湿」などといいます。

こうした状態を少しでも改善するために、「精・気・血・水」の不足分を少しでも穴埋めするべく、代謝機能を改善していこうというのが漢方での病気の治療やアンチエイジングの考え方です。

女性特有の加齢による悩みや病気には漢方がおすすめ

漢方ではこうしたアプローチによって、局所的にではなく総合的に不調と向き合い、心身の健康を促していくという考え方を持っています。この考え方が女性特有の病気に対して効果が高いといわれているのです。

その理由は子どもを産み育てるときに重要なホルモンの働きが深く関わっていることが挙げられます。しかし、ホルモンバランスは生活の乱れや心理的ストレスで容易に崩されてしまうこともあり、保つことは簡単なことではありません。

漢方においては気血の不足によって不調が現れるようになるのですが、この考え方とホルモンバランスの乱れという概念はよく似ています。そして特に女性ホルモンの減少によって起こる更年期障害に関しても、まさに全身症状として不調が現れます。全身症状に対して俯瞰した目線と総合的な観点から働きかけていく、漢方の考え方と相性がよいと考えられるのです。

女性ホルモンに関する病気は、特にそれが不足したときに現れる症状の場合、不調は全身に波及します。漢方の考え方は局所的に病床を抑え潰していくアプローチではなく、あくまで心身をひとつとしてとらえ、自然な形で健康と美しさを保っていこうとするものです。女性特有の悩みや病気にあてはめていくのは、当然といえば当然のことです。

更年期障害でのストレス抑制や自律神経調整に効く漢方として有名な「若甦(じゃっこう)」や、月経痛の抑制や下半身の冷えに効くといわれる「当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)」などが、女性の病気に効果が期待できる漢方であります。


まとめ

今回は女性ホルモンの影響で起こる女性特有の病気や、不調に関する漢方の考え方をご紹介しました。女性の悩みは特に自律神経系の乱れと直結しやすいものです。男性の病気よりも漢方が有用に働きやすく、治療の考え方としても共通点が少なからずあるのです。

千葉幕張・都賀の調剤薬局「ありす薬局」では、個別の漢方相談を受け付けています。医師による西洋医学的な治療法のみならず、漢方に関する健康相談も個別に対応いたします。漢方は草根木皮や動物由来の生薬など自然生まれの薬効によって働きかける、身体に優しい治療です。女性特有の悩みや不調に苦しんでいる方は、ぜひお気軽にご相談ください。