初めての方必見!漢方薬の選び方を詳しく解説

体の不調などを改善するための手段として、漢方薬は非常に有効です。しかし、漢方薬には数え切れないほどの種類がありますので、初めての場合にはどれが効果的なのかわからず困ってしまうでしょう。選択した漢方薬があっていなかった場合、いくら飲んでも改善に繋がりません。そこで今回は初めての方に知ってほしい漢方薬の選び方についてご紹介いたします。

『証』でわける

漢方には、症状に対して西洋医学における診察とは異なる独自の判別方法が存在しており、その一つが『証』です。この証というのは、患者本人の状態を示すもので、体質や体力、抵抗力などを指します。

漢方というのは症状に対してではなく、患者本人にスポットをあてて症状の改善を行いますので、現在の状態を知るというのは非常に重要なことです。基本的にはこの証に合った漢方薬が処方されることになります。

つまり、似たような症状であったとしてもこの証に基づいて処方されることになるため、実際に処方される漢方薬は異なる場合があるのです。また、症状が同じだからといって別の方がその漢方薬を飲んだとしても、期待している効果が出ないことも十分にありえます。

西洋医学の薬の場合ですと症状に合わせて処方されるため人によって薬自体が異なるということはありません。これらは漢方ならではの特徴の一つといえるのではないでしょうか。

証で患者の状態をわける方法には『虚・実(きょ・じつ)』というものがあります。体力があまりなく、体格も華奢で寒がりというような方は『虚証(きょしょう)』に分類され、反対に体力が十分にありガッシリとした体格で暑がりという特徴の方は『実証(じっしょう)』となります。例えば有名な葛根湯は胃腸の弱い方には向いていないという特徴があるため、虚証の方には処方しません。

『気・血・水』で探る

証は患者の状態を確かめるものですが、『気・血・水』は不調の原因を探るためのものとなります。この気・血・水の3つの要素を整えることで健康が維持されると漢方の世界では考えられています。

なにかのきっかけによりバランスが崩れてしまうと、病気などの不調として現れてしまうのです。不調が出ているということはこのバランスが崩れているということですので、どこに問題が潜んでいるのかを探るというわけです。

気の不調

気というのは目に見えない生命エネルギーのことで、いわゆる自律神経の働きのことを指しています。ここのバランスが崩れていた場合に起きる症状としては、疲労感や食欲不振をはじめ、頭痛や息苦しさ、同期などが代表的な不調となります。

血の不調

血というのはそのままの意味で、体中に張り巡らされている血管を通る血液のことです。ここのバランスが崩れていた場合に起きる症状としては、月経異常や便秘、貧血や血行不良などが挙げられますが、これらは女性に対して多く起きるような傾向にあります。

水の不調

水というのは血液以外の体液のことを指しています。ここでの異常による代表的な症状としては、むくみやめまい、頭痛や下痢などが挙げられます。

『四診』で診断

証と気・血・水によって、医師はどのような処方にするのか方向性をある程度決めます。そして最終的にどの漢方薬を処方するといいのかを決めるために、『四診』を行うのです。

これは4種類の診断を通じて、具体的な状態を確かめることができ、それぞれの症状に合った漢方薬を導き出すことが可能となるのです。ただし、必ず行うわけではなく、場合によっては四診を行わないケースもあります。

望診(ぼうしん)

顔色や表情などにはじまり、全体的な態度や姿勢、体型などに至るまで見た目で確かめることのできる情報を収集する診察です。不調は表面上にも現れやすいので、じっくりと注意深く観察する必要があるのです。同時に舌の状態を確かめる『舌診(ぜっしん)』を行う場合もあります。

聞診(ぶんしん)

患者の状態の中でも耳で確かめることが可能な部分に関する診察となります。声のボリュームやトーン、話し方などをはじめ、咳や痰の出方やつまり具合などです。場合によっては体臭や口臭を確かめることもあります。

問診(もんしん)

本人でしか知り得ない情報を引き出すための診察です。自覚症状の有無やこれまでにかかったことのある病気の有無などが挙げられます。その他にも普段の生活の様子や好みの食べ物など、本人のライフスタイルに関する内容も確かめるのです。

切診(せっしん)

実際に患者に触れることで確かめる診察です。脈拍を測り、お腹に触れて張り具合などを確かめます。

五臓という考え方

気・血・水と似ていますが、体の部位や機能を大きく5つに分類考え方が『五臓』となります。このいずれかで不調が出た場合には、その部分に異常や問題があるということになりますので、漢方を処方する際の重要な情報といえるでしょう。

循環や代謝、排泄などをコントロールする役割を担っており、さらに血液を貯める役割もございます。対象部位としては肝臓や胆のう、爪や目になります。

血管内の血液循環や脈拍、脳などをコントロールする役割を担っており、部位としては心臓や小腸、顔や舌が挙げられます。

消化吸収をはじめ、血液が漏れないようにまとめる役割を担っており、胃や脾臓、筋肉や手足などが対象部位となります。

呼吸や体内の水分の循環などをコントロールする役割を担っており、皮膚や体毛、鼻や喉、気管支、肺、大腸などが対象部位となります。

生命力や生殖機能などをコントロールする役割を担っています。対象部位となるのは腎臓や膀胱の他、骨や耳などです。

まとめ

漢方薬を処方するための診断は独特なものになりますが、今回ご紹介した診断を経て患者に合った漢方薬が導き出されるというわけです。ありす薬局では、漢方薬の取り扱いをしているだけでなく相談についても承っております。感じている不調に対してどの漢方薬が合っているのか手厚くサポートいたしますので、お悩みということでしたらお気軽にお問い合わせください。