漢方自体は知っているという方はいても、漢方の詳しい効果までは知らない方も多いのではないでしょうか。薬のようなものや独特の匂いや苦味があるというイメージを持たれているかもしれませんが、もちろんそれだけではありません。そこで今回は漢方とはなにかということについてご紹介いたします。
漢方の歴史
漢方というのは、中国を起源とする医薬品のことです。中国または朝鮮半島より日本へと伝来し、その後日本国内で独自の進化を遂げた結果、現在の漢方薬としての地位を確立しました。中国においては中医学として発展していますが、それは現在の漢方とは同じ起源でありながらも大きく異なるものになります。
日本に伝わった時期は6世紀頃といわれています。その後日本人の体格や環境に合わせる形で徐々に進化していき、江戸時代の中期頃にはすでに日本独自の医薬品としてその存在を確かなものにしていました。
漢方という名称の由来ですが、その当時オランダより西洋医学が伝来してきたのですが、それを蘭方と呼んでいたことから、それに対するものということで漢方と呼ばれるようになったといわれています。
そんな漢方も徐々に人気が高まってきており、利用者も多くなってきました。これまでは伝統医学という扱いでしたが、現在では科学的根拠に基づいているという評価を受け始めています。そのため日本だけでなく、海外からもたくさんの注目を浴びるようになってきているのです。この先においてもますます発展していくことでしょう。
西洋医学との違い
漢方と西洋医学の最大の違いは『対象』にあります。西洋医学は病気を対象とします。病気によって処方や治療の必要が出た場合に、診察の結果見受けられる症状や検査結果などを元に、病気の原因に対してアプローチを行うのです。処方した薬の効果で病気の症状を抑え完治へと向かわせます。
一方漢方が対象とするのは病気ではなく病気にかかった患者になります。人間の体が持つ自然治癒能力を活用することによって病気を治すわけです。そのためには病気そのものの詳細ではなく、患者本人の体質や健康状態、精神や肉体の状態などを観察し、症状へのアプローチを行うことが必要になります。
また、もう一つの特徴としては、『未病』が挙げられます。例えば胃もたれや胸焼け、食欲不振等の症状を感じた際に病院へ通ったとしても、それは病気として診断ができないケースがあります。
その場合西洋医学ではピンポイントで治療することができません。しかし、漢方の場合それらの症状を「病気ではないものの何らかの異常な症状が出ている状態」である未病として捉えるのです。そのため漢方薬による治療が可能となります。
漢方の特徴
漢方は西洋医学で用いる薬とは異なり、生薬をベースとしています。生薬というのは、天然に存在する薬のような効力を持つ植物などをいつでも使用ができるように保存したものです。
植物が持っている有効成分だけを抽出している生薬を使い、体の自然治癒能力をサポートすることで症状を改善させていきます。また、漢方には非常に多くの種類があり、複数の組み合わせによって根本的な改善を促します。
対象が患者ですので、同じ症状であったとしても人によって処方される内容が異なる場合もあり、これも漢方の特徴であるといえるしょう。
漢方には五行という考え方が存在します。これは『木・火・土・金・水』の5つのことを指しており、これらはお互いに影響し合っている状態となります。
それぞれの間に気のめぐりが存在しており、バランスが保たれている状態が正常です。五行には心臓をはじめ5つの臓器が対応していますが、バランスが崩れてしまうと不健康な状態になってしまいます。そのバランスを整えるために漢方薬が用いられるのです。
漢方の活用法
漢方を活用する際、大きくわけて以下の剤形が挙げられます。
・煎剤
生薬を熱湯で煮出した状態のことを指します。煮出した液体のことを煎薬と呼びます。
・散剤
生薬を細かく粉々に砕いた状態のことです。いわゆる粉薬と同じ状態です。
・丸剤
散剤に水分などをプラスしたあとに最終的に丸型の形状へと成形したものです。
・顆粒
一度濃縮した煎じ液に含まれている水分を蒸発させ、加工した状態を指します。
・錠剤
賦形剤と呼ばれる添加剤を使い、一定の形状へと加工させた状態です。
漢方は病気に対してピンポイントで治療を行うのではなく、患者の体質改善によって症状の解消と今後症状が出ないように体のバランスを整えることを目的としています。そのため病気などにかかりにくい体づくりができるわけです。
体のバランスが常に整っていれば安心して日々の暮らしを送れますので、病気とまでいかない症状に関しては積極的に漢方を使用するといいのではないでしょうか。
漢方は未病と呼ばれる症状に対してその真価を発揮します。漢方を活用することによって症状の緩和だけでなく、今後症状の出ない体づくりができるようになるため、多くの方に使用されています。特に年齢が若いうちから使用することによって、理想的な身体を手にすることができるでしょう。
まとめ
漢方は体に対してアプローチをするため、西洋医学に比べて患者へ与える影響が大きいものです。天然の成分が多いため、どなた様でも使用することができます。ありす薬局では漢方にまつわる相談を受け付けておりますので、興味を持たれた方はお気軽にご相談ください。
